作品の魅力を伝えるスマホ撮影 『スマホでカメラ手帖』著者・misatoさんインタビュー
ある・みるメディアでレビューさせていただいた『スマホでカメラ手帖』の著者であり、カメラ講師として活動するmisatoさん。作品撮影の考え方をわかりやすく学ぶことが出来る本書を手がけたきっかけでもあるカメラ講座で寄せられた作家さんたちの悩みや、講座での様子、商品撮影で大切にしていることについて伺いました。

スマホひとつで、作品写真が変わる。『スマホでカメラ手帖』レビュー
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『おしごとカメラ手帖』『こそだてカメラ手帖』に続いて、3冊目の出版として『スマホでカメラ手帖』を出版したmisatoさん。
商品撮影に特化した本書を出版したきっかけは、misatoさんが2020年から続けているオンラインのカメラ講座が関わっています。
──オンラインカメラ講座を受けられる方はどんな方が多いですか?
「minneやクリーマなどでこれから販売を始められるハンドメイド作家さんや、企業のECサイトを運営している担当者さんが多いです。プロのカメラマンにお願いしたけれど自分の作品と合っていなくてご自身で知識をつけたいといった方や、海外から受けられる方もいらっしゃいます。」
──講座ではどんな困りごとが寄せられていますか?
「マンツーマンのレッスンなので、その時一番困っていることを具体的に伺います。
撮ってみたけど肉眼で見るのと色が違ってしまう。自宅での撮影が上手くいかなくて買った撮影ボックスを使いこなせていない気がするとか。夜間しか撮影出来なかったり、みなさんの状況も困りごとも様々です。」
──撮影ボックスを買ったからといって上手く撮れるとは限らない、というのはよくありますね。
「撮影ボックスを買えば上手く撮影出来るのでは?と思って購入したものの、サイズが小さすぎて失敗してしまった……という方がいらっしゃったため、実際のサイズを伺い、私自身も試しに同じものを購入して検証したことがあります笑
たしかに撮るのに結構コツが要ると感じました。初めて触る方には難しいかも……と。」
──とりあえず買ってしまう気持ちもわかるんですけどね。
「撮影ボックスも持っていないのに、カメラのことを聞いてもいいの?って方も結構いますね。」
──今回の本は、撮影ボックスを使う前に試すようなことにかなりフォーカスされていて、この本に書かれていることが出来れば撮影ボックスを買わなくてもいいかもしれない。
「ライフスタイルによっては撮影ボックスがあった方がいい場合もありますが、無くても実は大丈夫だったりもするんです。
講座の際にお話を伺うと、みなさんが想像するカメラでの撮影ってすごくレベルが高くて。実際に講座を受けると、そんなに難しく考えなくて良かったんだ……と仰ったり。まるでプロのカメラマンの仕上がりというわけではなくても、作品の魅力を伝えることは出来るんです。」
──たしかに。ぜひ撮影ボックスを買う前に読んでほしい1冊ですね。
本を拝見して、使い方のハウツーだけでなく撮影に対する考え方の部分を大事にフォーカスされているなと感じました。AndroidでもiPhoneでもある程度共通の機能と用語で教えてくれているから、スマホの機種が異なっても同じように撮影が出来るのも魅力です。
「受講者の中には、特定の加工カメラアプリで撮影するのが当たり前になってしまっている方もいるんですが、最初からスマホに入っているデフォルトのカメラアプリも思っているより悪くないんです。なので敢えて、デフォルトのカメラを使って説明しています。」
──最近のスマホはどれを買ってもきれいに撮れるカメラが搭載されてますものね。
書籍の中でも講座の様子を掲載していますが、講座で必ずお伝えしていることってありますか?
「作品の“かわいいところ探し”をしましょう、とお伝えしています。作品の魅力は思いを込めている作家さんが一番よく知っていると思うので、作家さんの主観で見て作品が素敵に見える角度や、質感がわかりやすい距離を探すということなら始めやすいかなって。」
──かわいいところ探し、と言われるとワクワクしますね。
「そう言われるとあんまり難しくなさそうに感じますよね笑」
──作家さんはみなさん、「ここがかわいい」「いや、でもここもかわいい!」と迷われるんじゃないですか?笑
自分自身の作品と向き合いながら撮影の方法を学べる講座、あるようでなかなかないと思うのでとても素敵です。
「マンツーマンでやっているので、憧れている作家さんや理想だなと考えているアカウントをこっそり教えてもらったりしていて。撮影の仕方やニュアンスに憧れている方のポイントを取り入れてお伝えしてみたりもします。そうすると講座のあとも今までよりも自分が好きだなと感じていた写真に近付いていく、ということを積み重ねられていっているのかなと思います。
作品と合う世界観や、作家さんが目指したい方向性に近付けたいと思ってレッスンしています。
撮影についての選択肢の広さや、自分と作品に合う方法をこの本で見つけてもらえたらいいなと思います。」
──今日お話を伺って、misatoさんはものづくりをされている方が本当にお好きなんだなと感じます。
「そうですね。みなさんの作品やものづくりのお話を聞くのは好きなんです。」
──そういう方だから、作り手に寄り添った本が作れるのだと思います。
──作品の撮影を良くしたい!と考えている作家さんへひと言いただけますか。
「作家のみなさんが作品にかける思いはたしかにあるのに、ECサイトなどでそれを伝えましょうとなった時に、伝えたいことがありすぎて迷ったり悩んだりされているなと、講座をやっていると感じます。
サイト上で作品がよく見え過ぎてしまうのも問題だけれど、ある程度はよく見えたいものだとみなさん思っているはずです。少しでもいい写真が撮れるともっと撮りたくなって積み重ねられて、ゆくゆくはすごくいい写真が撮れた!ということに繋がっていくと思います。
この本は作品の魅力を伝えるための撮り方の選択肢をたくさん載せたので、その中で自分に合うものや取り入れやすいものを選んで取り入れていってくれたら嬉しいです。」

さいごに
「misatoさんが続けてきたカメラ講座の話を伺って、1冊目を出版する段階からいつかこのテーマでの出版を依頼したいと考えていました。」と、出版社339PLANNING代表の今野さん。自分自身もものづくりを楽しんでいた経験から、商品撮影に特化したハンドブックの企画をmisatoさんに依頼したいと考えたそうです。
『スマホでカメラ手帖』に掲載していることの多くは、misatoさんが受講者であるECサイトの運営者やハンドメイド作家のひとりひとりと、撮影の悩みごと寄り添ってきたことが詰まっていました。撮影の基本からちょっと応用するような考え方まで様々な撮影の選択肢を丁寧に示してくれるのは、カメラ講座で受講者へ寄り添い続けてきたからこそ。商品撮影をはじめる際にまず読んでいただきたい、ガイドブックです。
撮影に悩まれている方はぜひ本書とmisatoさんのカメラ講座をチェックしてみてください。
『スマホでカメラ手帖』(Rome .photograph misato/339PLANNING)
価格:ペーパーバック 2,200円(税込)/ Kindle 1,760円(税込)
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Rome .photograph misato

大阪芸術大学 芸術学部 写真学科卒 香川県出身。高校時代に出会った恩師の影響からカメラに興味を持つ。大学では写真専攻、卒業後はフォトスタジオ数社に勤務。
2015年よりRome .photographとして独立。カメラマン以外にもカメラ講師としても活動し、2020年からスタートした初心者向けオンラインカメラ講座では、これまでに250名以上が受講。撮影現場やカメラ講座での知見を活かしたオリジナルカメラグッズの企画、販売も行い「思い出すと頰がゆるむ記憶を届ける写真屋さん」をコンセプトに活動している。
Instagram:https://www.instagram.com/romephotograph/
